疾風怒濤の料理教室

久しく会っていない友達からの電話が鳴った。

「あ、もしもし?マサル?今から時間作れない?メッチャお願いがあるんだけど!!ってか、家に行っていい?」


「は?全然無理。俺は今からやっと今日初めてのご飯にありつけるんだから邪魔すんな!!」

そう、伝えたら諦めるかなーと思ったら

「分かった。飯食ってていいからとりあえず行くわ。住所だけ教えて!!」

うん、人の話などサラサラ聞く気がなかったようです。笑

10分後にやってきた彼は久々の再会にも関わらず開口一番で、こう言いました。

「今付き合ってる彼女にホワイトデーの日にプロポーズするんだけど、手作りのケーキもサプライズで渡したくてさ。教えて!!」

「ん?色々突っ込みたいとこはあるけど、今から教えるってこと??」

「もちろん!!気合は十分だぜ!明後日から出張だから今日くらいしか時間ないんだよ。よろしく♪何からすればいい?」

もう、彼の勢いに完全に負けてしまいました。
メシ食ってていいとか嘘じゃんw
もっと早く相談しろよ!!と心の中で静かに突っ込み、
空腹を耐えて、自己中な彼のプロポーズを全力で応援することに。

「彼女はどんなお菓子好きなの?」

「んー、うちの嫁はさっぱりめなフルーツ系のケーキをよく食べてるよ」

突如、呼び方が彼女から嫁に変わったことはフルシカトして、

「んじゃー、フルーツタルトとかどう?タルトの中にはフルーツムースをたっぷり詰めて上には華やかにフルーツを飾ったら惚れない女はいないっしょ。簡単なの教えるよ」

「それやばいな。よし、買い物に行こう!!急ぐぞ、チンタラすんな!」

もはや、どちらが教わっているのかよく分からない状態w
そんな調子で彼に押され腹減って死にそうな中、手取り足取りレクチャーをつい30分ほど前までしていたのです。
必死こいてメモして、味を覚えようと何度も何度も味見をしていました。
その姿を見て、僕も料理人になりたての時は”女の子にモテたくて”、”いやらしいことしたくて”仕方ないから早く味を覚えるために必死こいて洗う寸前の鍋の味見してたなー。
と、不純な理由でどうにかモチベーションを保っていた修行時代を思い出しました。

友達の彼女は会ったことないけど、慣れないお菓子作りを夜中に真剣に取り組んで創ってくれる男が側にいて幸せもんだなー
と、空腹過ぎて白目になりながら思いました。
とりあえず、成功を祈ります。
でも、成功を祈る気持ちより空腹を満たしたい欲求の方が遥かに強いので今すぐに帰ってください。
お願いします。

帰り際、彼は一言。
「あ、13日に習ったケーキを仕込みに来るから空けといてな!!おやすみー、ゆっくり休んで(^^♪」

しばらくは着信拒否にしようと思います。
友達は選ぼう、そう思った真夜中の出来事。

【出張料理館 初代団欒家 MASARU】




コメントを残す